地質学はフィールドサイエンスであり,実際に現地に行って,見て,触って,匂いで,舐めて,五感を最大限に使って初めて理解できるのです.


ここでは,すでに自然が行ってきた様々な事件が地層という岩石の中に埋まって残っている.鋭い観察力・洞察力をもって複雑に絡み合った地球の歴史を紐解き,論理をつなぎ合わせることにより,歴史を明らかにするのである.


地球を46歳のおじさんと考えると,今が良く分かる.丁度私の年ですね.昔のことはかなり情報量が少なくなるのです.また,突然様々な人生を変えるような事件が起こるのも地球の歴史と人生はよく似ている気がします.ぜひ,自分史と地球の歴史を比べてみましょう.



冥王代  Hadean めいおうだい地球が生まれたときから,地球上に現存する最古の岩石が残る時代.(45.6億年ー40億年) 38億年という意見もあるが,アカスタ片麻岩40.3億年をここでは採用する.アカスタ片麻岩は40.3-36億年までの様々なステージの岩石が混入された岩石である.地層としてはイスアなどの38億年前の岩石が最も古い.


太古代 Archean たいこだい(ギリシャ語でbigining もしくは40-25億年前.25億年は丁度切りがいいから区分した年代.ただ,この頃を境に地球環境が大きく変化する.オーストラリアではマウントブルース超層群中のハマスレー層群内に境界がある.


原生代 Proterozoic げんせいだい (ギリシャ語でearlier lifeの意味)25-5.42億年前 単調な時代とされていたが,超大陸形成やスノーボール事件など,安定な地球になるための地球が模索している時代.大陸地殻形成のテクトニクス・ダイナミックスが大きく変動し,超大陸を作る.環境変動がおこり暴走した地球環境が繰り返される.その中で生物が繁茂していき,酸素をつかって効率よいエネルギーをもてるシステムの真核生物が現れ,最終的には大型生物になるための準備期間になる.


顕生代 Phanerozoic けんせいだい (ギリシャ語でmake life appearの意味) 5.42億年前ー現在 大型生物が繁茂する時代.20年前までは地史学というとこの時代から始まった.というのも19-20世紀前半までは化石による区分でしか地球の歴史を紐解くことが出来なかったためである.ただ,その努力はすごくて,高解像度の年代復元が,大型化石,微化石などにより行われる.生物の進化は地球の環境にあわせて刻々と変化を刻んでいったのが良く分かる.


時代の年代値については,数年ごとに変化している.カンブリア紀の始まりは5億7000万年前という教科書もまだ存在している.微妙にではあるが年代測定精度などにより変化するため,数値を覚えるのはあまり得策ではない.ただ,大体の時代は数字と前後の関係を帯びグラフ(年表)的に理解することをおすすめする.


 


現在,統一的な地質年代の見直す動きがある.特に近年非常に良く分かってきている先カンブリア時代は細かく分かれるようである.